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今回は、言語学で、ELFが「Lingua Francaとしての英語」として使われる場合について、私の考えをまとめます。

ELFの、以下の3つの使い方の2つめです。

1.英語が世界中で共通語として使われているという現象
2.世界で共通語として使われている英語
3.グローバル化の中で変化する英語を研究する学派

この場合、ELFは、「Lingua Francaとしての英語」、つまり、母語が違うノンネィティブ同士*が使う英語と定義されます。そして、「ノンネイティブの英語」としてのELFは、「ネイティブの英語」とどう違うか、英語の変化に注目します。

もともと、ELFという言葉が、言語学の世界で、固有名詞的に使われ始めた最初の頃(2000年代初頭ごろです)は、ELFとはシンプルに、「Lingua Francaとしての英語」という意味でした。 


ELFの立ち上げの中心メンバーは、ヨーロッパの3人の女性研究者ですが、この3人が1990年代の後半に少しずつ違うフィールドで、ヨーロッパにおける英語の共通語化の現象に注目しました。

イギリス人のJennifer Jenkinsは、第二言語としての英語をイギリスで教えていたときに、生徒たちだけが集まって英語で話しているときには、発音や言葉遣いがフレキシブルで、イギリス人先生の彼女の前で使う英語とは違うぞ、と気づきました。これが、彼女のELF研究の出発点になったそうです。 Jenkinsのこの時期の研究テーマがが発音だったので、まずELFの発音に注目したのです。

Jenkinsは、ELFとして英語が使われる場合、お互いに意味を理解するためにどうしても必要な音と、理解にはあまり重要ではない音があるのではないか、と考えました。その必要な音を、ELFの核心となる部分ととらえ、ELF Coreという呼び方をして、その解明に取り組んだのが、2000年ごろでした。

オーストリア人のBarbara Seidlhoferは、ヨーロッパでELFとして話されている英語音声を記録し、その分析の中から、ELFの使われ方の特徴を分析しようとしました。 ウイーン大学とオックスフォード出版が協力して、ノンネイティブの話す英語を集めたコーパスは、VOICEとよばれ、そのデータベースと研究結果はWeb上に公開されています。

また、フィンランド人のAnna Mauranenは、大学でノンネイティブの学者が使う英語に注目し、大学教育や学会で使われる英語を研究しました。

こうした2000年代初頭の研究では、ELFとして使われる英語が、ネイティブ中心に使われる英語とどう違うかに注目し、その規則性を調べようとしたわけです。 研究の成果として、ELFのこんな特徴が報告されています。

-英語の表現に母国語の影響を受けた、ネイティブが使わない表現が多くみられる
-英語の中に、話者の母国語が混じって使われることが多い(Code Switching)
-会話では、意味が通じればあまり文法にこだわらないで話しが進む
-文法の「間違い」には、どの母国語のノンネイティブでも共通して間違いやすいものがある
-ELFの話者は、多くの場合、自分の英語力を駆使して、うまくコミュニケーションをとるっている**

こうした特徴は、その後、多くの研究で繰り返し確認されています。

一方、ELFに「英語の核心」、ELF Coreがあるのではないか、という研究は、行き詰った観があります。何より、世界中の多様な母国語を持つ人が話す英語に、共通性があるのか、という点に疑問がはさまれています。むしろ、ELFは時間や場所や、人によって、多様に変化しているという考えが強くなっています。 

また、ELF Coreを見つけるという意図を、ELFという名のもとに、新しい英語のバラエティ(種類)を規定しようとしているととらえ、人工的な英語のバラエティを作ろうとするようなものだ、という批判も受けたようです。

そして、立ち上げの中心をになった3人の研究者も、研究の方向が変化し、ELFという言葉が、英語へのスタンスの違いを示す、学派としての色彩が強くなってきたように感じます。

*ELFという言葉の登場した初期には、母語の違うノンネイティブ同士の使う英語と規定していたようですが、その後、そのコミュニケーショングループの中に、マイノリティとしてネイティブが混じっている場合も含むと規定しなおし、今ではその定義が一般的です(くわしくはJenkins 2007 1-3)

**‘highly skilled communicators who make use of their multilingual resources ‘(Jenkins, Cogo & Dewey, 2011)

Jenkins, J. (2007). English as a Lingua Franca: attitude and identity. Oxford UniversityPress
Jenkins, J., Cogo, A., & Dewey, M. (2011). Review of developments in research into English as a lingua franca. Language Teaching, 44(03), 281–315.



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